まさとは,下駄箱から靴を取り出した.かすみは,あわてて何かを言おうとしたが,何度も口ごもった.

「あ…あの」かすみは,その場をとりつくろうように笑顔を浮かべた.「う…うん!そ,そう.発表会まであと少しなの.もっと練習しなくちゃいけないって,先生が…」 

「ふーん」と言うとまさとは,かすみがいつになく慌てているのに気がついた.
「何だかすみ,どうかしたのか?顔が赤いぞ」

「え…? う…,ううん,これは,何でもないの! あ,あたしもう行くね!宿題がたくさん出てるし」
そういうとかすみは,かばんと靴を持って,てててっと走ると,そそくさと靴を履き替えた.




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