君子が,早苗ちゃんと一緒に歩いてきた.
「大丈夫? …顔色が悪いみたいだけど」
「ん?……あ,ああ,大丈夫だ.忘れてたことがあったんだ」
君子は,それを聞くと,わざと聞こえるように早苗ちゃんに言った.
「あたし,来月誕生日なんだ!お兄ちゃん,やっと思い出してくれたみたい」
あは,あはははは….引きつった笑顔を浮かべて,まさとは歩いていくふたりを見送った.あのやろ,露骨にプレゼントをねだりやがって.