まさとは,なんとなく話の種が尽きて,黙り込んでしまった.かすみも,気がつくとうつむいている.ふたりは,黙って歩いていた.

人通りもだんだん少なくなり,やがて臨海公園から,青葉台の海岸が見えてきた.

意を決したように,まさとは口を開いた.

「かすみ……」

かすみは,ふだんと変わらない感じで,ふっとまさとの方を見たが,胸はドキドキと激しく打ち始めていた.かすみは,今にも泣き出しそうな,そんな顔をしていた.

「きょう…風,強いね.さざ波があんなに…」
かすみは海岸の方を見つめて,言った.




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